flat7th

memo/20130320

created 2013-03-20 modified 2013-03-20 

忘れたいこと、忘れたくないこと


リンク備考
アルツハイマー病の血管からの投与による遺伝子治療実験に成功理化学研究所 プレスリリース

アルツハイマー病を治療する方法の一つについて、これまでは脳に対する直接の外科的手術を伴い、技術的に困難であったが、新しいやりかたでは血管からの投与でできそうだ、という話。まだマウスを使った動物実験の段階だけどね、と。



アルツハイマー病に苦しむ患者さん、介護する家族の方には、希望の光となるのではないでしょうか。研究が着実に進み、その成果がたくさんの人の幸せにつながるといいです。



不謹慎かもしれないけど、ここからヨタ話。

忘れたい記憶を忘れられなくはなってしまう、ということはないのだろうか。


高度に職能を磨いた飲食業の方って、オーダーの内容(メニュー品、数、テーブル)を瞬時に覚えるじゃないですか。
あるバーテンダーさんが、猛烈に混んだ状態でオーダーを的確に覚えて処理していた。私はそれを見て非常に関心して、後日すごいですね、と話したら、あることをそっと教えてくれました。いわく、「仕事ですから覚えます。覚えるのはバーの仕事の中では容易な方。それより難しいのが、すでに完了したオーダーを、忘れていく事。間違えてまた作ってしまいそうになる」との事。

ふへー、すごいレベルで仕事をしてるんだなぁと思いました。また、私にはとても無理だ...とも思いました。

で:
その話に関連して。


辛い記憶を忘れることも、人間が生きていく上で重要な機能であると思うのですよ。

本日、BSの無料放送でやっていた「エターナル・サンシャイン」という映画を見ました。主演はジムキャリー。日常系SF映画。

主人公は恋人と別れたつらい記憶を忘れようと、「記憶を消してくれる医者」に消去作業を依頼する。その晩に行われた消去作業中、恋人との楽しかった想い出まで消されることに気づいて思い直した彼は、無意識状態の中で必死に抵抗する。彼の願い虚しく、次々に記憶は消されていく。翌朝になり、彼が見たものは…

という話。

リンク備考
wikipedia:エターナル・サンシャイン


私にも、いつまでも鮮明に覚えていたら、とても辛くなるような記憶があります。人間は忘れるからこそ生きられるという面もあるように思います。苦労して学んだ事などをいつまでも覚えていたい気持ちと、つらい想い出などを忘れてしまいたい気持ち、両方あります。覚えていたいことは覚えていたいし、忘れたいことは忘れたい。でも、なかなかそうは行かない。

記憶を自在にコントロールできたらいいのに、と思う半面、自在にコントロールできないのもまた人生か、とも思います。すべての生命は、記憶を持たない状態で生まれ、たくさんの他の生命を食べることで生き、やがて自分も大量の記憶を捨てて死ぬ。

つらい記憶で胃の縮むような苦しみを味わったり、美化した記憶や妄想をもて遊んでみたり、それもまた生きる本質なのか、どうでしょうか。


* 日々のメモ